父が天国へと旅立った。
施設に入ってから、わずか1ヶ月のことだった。
もう少し長生きすると思っていた。いや、そう信じたかった。
父は10年以上前に母を見送り、それからというもの一気に老け込んだように見えた。とはいえ、息子から見た父は、職人として仕事には真摯に打ち込み、釣りやら麻雀やら、まぁ色んな趣味を楽しんでいて、「この人、けっこう人生楽しんでるな」って思っていた。
晩年は、玄関の10cmの段差すら一人で越えられなくなり、そんな父を見て「そろそろ施設のほうがいいかもしれない」と兄弟で相談した。結果、施設入りを決断したのがちょうど1ヶ月前だった。
そこから早かった。
なんというか、「え?マジで!?」っていうスピードでの旅立ちだった。
坊さんの読経を聞きながら、父の人生と、自分の不出来な親孝行を振り返っていた。
もちろん、誰も未来なんて予想できない。
「あのときこうしてれば…」は、結果論。
不動産でも同じだ。「もっと早く始めていたら」「あのとき買ってれば!」っ話はよく聞くし、自分自身にも身に覚えがある。でもそのときの自分には見えなかったり、選べなかったりする。
でも、だからって大切なものを見失っていい理由にはならない。
父はきっと「まぁ、お前はお前の望むように生きたら良い」と笑って言ってくれると思う。
あの人、そういうところは大らかだったし。
とはいえ、これからの人生、少しギアを切り替えようと思う。
物件の利回りも大事だけど、人生の“周り”も見ないとね。
周りの笑顔の方が、よっぽど価値がある。
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